日本における最年少のがん症例について

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乳幼児のがんの発症原因

乳幼児のがんは、成人のものとは異なり、その原因がまだ完全には解明されていないようです。

原因が完全には把握されていませんが、いくつかの要因が関係しているとの情報です。

1. 遺伝的な要素

  • 遺伝子変異: 両親から受け継いだ遺伝子の一部に異常(変異)がある場合、がんの発症リスクが高くなることがあります。網膜芽腫や神経芽腫など、一部のがんはこの遺伝子変異が原因とも言われています。
  • 遺伝症候群: ダウン症候群や神経線維腫症などの遺伝症候群を持つ小児は、特定のがんを発症するリスクが高くなります。

2. 胎児・乳幼児期の環境要因

  • 放射線: 妊娠中にX線やCT検査などの放射線を浴びると、胎児のがん発症リスクがわずかに上昇することが分かっています。
  • 化学物質: 妊娠中または乳幼児期に、タバコ煙や発がん性物質にさらされると、がん発症リスクが上昇する可能性があると言われています。

3. その他

  • 免疫機能: 乳幼児の免疫機能がまだ十分に発達していないことも、がんの発症に関与していると考えられています。

乳幼児が発症する可能性の高いがんの種類はなんでしょうか?

乳幼児に比較的多く発症する可能性が高いがんを以下にまとめました。

1. 白血病

  • 全小児がんの約3割を占め、最も頻度の高い小児がんのようです。
  • 白血病は、主に2歳以下に多く発症する白血球のがんです。
  • 治療法は、化学療法や骨髄移植です。

2. 脳腫瘍

  • 脳腫瘍は小児がんの約2割にもなります。
  • 症状は腫瘍の種類や発生部位によって異なりますが、頭痛、嘔吐、歩行障害など
  • 主な治療法は、手術、放射線療法、化学療法です。

3. リンパ腫

  • リンパ節や脾臓、骨髄など、免疫機能に関わるリンパ組織から発生するガンのことです。
  • 症状は、リンパ節の腫大、発熱、体重減少など
  • 治療法は、化学療法や放射線療法など

4. 神経芽腫

  • 腎臓の上にある副腎や背骨の近くにある交感神経節など、体の背中側から発生する腫瘍のことです。
  • 症状は、腹部膨満、嘔吐、便秘、発熱など
  • 治療法とは、手術、放射線療法、化学療法などが主になります。

5. 腎腫瘍

  • 腎臓から発生する腫瘍です。
  • 症状としては、腹部膨満、血尿、発熱など
  • 治療法としては、手術、放射線療法、化学療法など

6. 肝腫瘍

  • 肝臓から発生する腫瘍です。
  • 症状は、腹部膨満、黄疸、嘔吐など
  • 治療法は、手術、放射線療法、化学療法など

7. 胚細胞腫瘍

  • 卵巣や精巣など、生殖器から発生する腫瘍です。
  • その他にも、骨肉腫、軟部腫瘍、白血病など、様々な種類のがんが乳幼児に発症する可能性はあるようです。

乳幼児のがんの治療方法はどのような方法がありますか?

乳幼児のがんの治療方法は、がんの種類、進行度、患児の年齢や体状態などによって異なりますが、一般的には以下の治療法が組み合わせて行われます。

1. 手術療法とは

  • 腫瘍を切除する最も基本的な治療法
  • 患児の体力が許せば、できるだけ腫瘍を全て切除することを目指すようです。
  • また最近では、レーザーやロボット支援手術などの minimally invasive surgery (MIS) の導入により、傷口が小さく、侵襲が少ない手術が可能になっています。

2. 化学療法とは

  • 抗がん剤と呼ばれる薬剤を投与し、がん細胞を死滅させる治療法です。
  • 単独で行われることもあれば、手術の前後に補助的に行われることもあります。
  • 副作用として、ほとんどのケースで吐き気、嘔吐、脱毛、白血球減少などがあります。
    副作用を抑えながら効果を発揮できる薬剤も最近開発が進んでいます。

3. 放射線療法とは

  • 高エネルギーの放射線をがん細胞に照射し、死滅させる治療法
  • 手術で切除しきれない腫瘍や、リンパ節に転移したがんなどに用いられます。
  • 副作用として、皮膚炎、脱毛、倦怠感などがありますが、照射する部位や方法を工夫することで、副作用を軽減することができます。

4. 造血幹細胞移植とは

  • 骨髄移植とも呼ばれ、造血幹細胞を移植することで、がん細胞によって破壊された骨髄を再生させる治療法
  • 白血病や悪性リンパ腫などの治療に用いられます。
  • ドナーとなる適合者が必要であり、移植後には感染症や拒絶反応などのリスクもあります。

5. 免疫療法とは

  • 患者の免疫力を高めて、がん細胞を攻撃させる治療法
  • 最近、話題になっている治療方法のひとつです。
    がんの免疫療法は目覚ましい進歩を遂げており、従来の治療法では効果が得られにくかったがんに対しても有効性が示されています。
  • 副作用として、自己免疫疾患を発症する可能性がありますが、他の治療方法に比べると副作用が比較的軽度な場合が多いようです。

集学的治療とは

上記のように、乳幼児のがんの治療法は様々ですが、近年では集学的治療と呼ばれる、複数の治療法を組み合わせて行う治療法が主流になっています。

集学的治療により、それぞれの治療法のメリットを活かし、デメリットを補うことで、治療効果を高め、副作用を抑えることができます。

注意点

  • 乳幼児のがんの治療は、専門医による高度な技術と経験が必要となります。
  • 治療法の選択や具体的な治療内容は、患児個々の状況に合わせて決定されます。
  • 治療の期間は長期にわたる場合も多く、患児や家族にとって大きな負担となります。
    しかし最近では、治療中の療養生活をサポートするための体制も充実してきています。

まとめ

乳幼児のがんの治療は、決して容易ではありません。しかし、近年では治療法の進歩により、治癒率は向上しており、多くの子供たちが完治していっているようです。

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