がんの歴史(中世〜現代)

以前のブログ記事の中で紀元前〜中世の話を記載しています。
調べてびっくりでした!ガンは紀元前の時からあったとされており、日本では縄文時代からそういった記録があったといいます。
今回はその前回の続きとなります。
前回の記事のないようはこちらからどうぞ↓

目次

中世のがんについて

中世ヨーロッパにおいて、がんは「癌 (cancer)」という言葉で呼ばれ、恐ろしい病魔として認識されていたようです。
治療法は限られており、多くの人が苦しみながら命を落としていました。しかし、そんな時代にも関わらず研究を行ったり、手術行ったりと研究は進んでいたようです。
中世で行なっていた代表的な治療方法をご紹介します。

外科手術

中世の時代も患部の切除や焼灼など、外科手術は最も一般的な治療法の一つでした。しかし、麻酔技術や止血技術が未発達だったため、患者にとって非常に苦痛な治療でした。麻酔がない手術なんて考えられません。

薬草療法

様々なハーブや植物を用いた民間療法が盛んに行われていました。効果は科学的に証明されていませんでしたが、症状を緩和したり、患者の精神的な支えとなったりする役割を果たしていたようです。

瀉血療法

患者の体から悪い血液を抜くことで、病気を治すことができると考えられていた治療法です。科学的な根拠はありませんでしたが、当時の医療体系において重要な役割を果たしてい多様ですが、現在では考えられないものですね。

祈祷や呪術

宗教的な儀式や呪術によって、病気を治すことができると考えられていた治療法です。これも科学的な根拠はありませんでしたが、患者の精神的な支えとなったり、希望を与えたりする役割を果たしていたようです。

その他の治療法

金や銀などの貴金属

金や銀などの貴金属を服用したり、患部に塗布したりすることで、病気を治すことができると考えられていた治療法です。科学的な根拠はありませんでしたが、富裕層の間で人気があったようですが興味深い方法の一つです

動物の臓器や体液

動物の臓器や体液を服用したり、患部に塗布したりすることで、病気を治すことができると考えられていた治療法です。科学的な根拠はありませんでしたが、民間療法として広く行われていたようです。

中世のがん治療における問題

中世の時代の治療方法を見ると、ほぼ完治が難しいと思われる方法ばかりです。
科学的根拠はなく、当時の医師がオリジナルの方法で色々と試していたというのが正しい表現かもしれません。
そういった手探りの中で、少しづつ今の時代の治療方法に近づいてきているとも言えるため全くの無駄にはなっていないはずです。

科学的根拠の欠如: ほとんどの治療法は、科学的な根拠に基づいていませんでした。
効果の限定性: 多くの治療法の効果は限定的であり、根本的な治療にはいたっていなかったはずです。
副作用: 外科手術や瀉血療法などの治療法は、患者にとって非常に苦痛なものでした。
医療格差: 富裕層と貧困層の間で、治療法に大きな格差。

近代のがん治療:希望の光が灯る100年

20世紀に入ると、近代医学の発展に伴い、がん治療は飛躍的に進歩したようです。画期的な治療法の登場により、多くの患者の命が救われました。ここでは、近代のがん治療における代表的な治療法と、その歴史について詳しく解説していきます。

放射線療法:見えない光がもたらす奇跡

1895年にレントゲンがX線を発見し、放射線療法が確立されました。放射線は、高エネルギーの電磁波であり、がん細胞を死滅させる効果があります。
初期のがん治療において、放射線療法は外科手術と並ぶ重要な役割を果たしました。

治療法の種類

X線療法:体外からX線を照射する治療法
ラジウム療法:ラジウムなどの放射性物質を体内に埋め込む治療法
コバルト60療法:コバルト60などの放射性物質を体外から照射する治療法

放射線療法の歴史

19世紀末:レントゲンによるX線の発見
20世紀初頭:ラジウム療法の開発
1950年代:コバルト60療法の開発
1960年代以降:放射線治療装置の技術革新

化学療法:体内に潜む敵を標的とする薬

20世紀半ばには、抗がん剤を用いた化学療法が開発されました。抗がん剤は、体内に投与され、全身の癌細胞を攻撃します。放射線療法と並んで、化学療法は現代のがん治療において最も重要な治療法の一つです。

代表的な抗がん剤

アルキル化剤:DNAを損傷させる薬
抗腫瘍抗生物質:細胞の増殖を抑制する薬
ホルモン療法:ホルモンの作用を阻害する薬

化学療法の歴史

1940年代:マスタードガスの抗腫瘍効果の発見
1950年代:メトトレキサートなどの抗がん剤の開発
1970年代以降:様々な抗がん剤の開発と組み合わせ療法の確立

手術:患部の切除による根治を目指す

手術は、患部の切除によってがんを根治することを目指す治療法です。外科手術の技術向上と麻酔技術の発展により、近代のがん治療において重要な役割を果たしてきています。

手術の種類

開放手術:体表を切開して患部を切除する手術
腹腔鏡手術:小切口から腹腔鏡を挿入して患部を切除する手術
ロボット支援手術:ロボットアームを用いて患部を切除する手術

手術の歴史

19世紀:麻酔技術の発展
20世紀初頭:外科手術の技術向上
1980年代以降:腹腔鏡手術やロボット支援手術の開発

免疫療法:免疫の力でがんを撃退

近年、目覚ましい成果を上げているのが免疫療法です。免疫療法は、免疫システムの力を利用して、がん細胞を攻撃する治療法です。従来の治療法とは異なり、副作用が少なく効果的な治療が可能になってきています。

代表的な免疫療法

免疫チェックポイント阻害薬:免疫細胞の働きを抑制する分子を阻害する薬
キメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T細胞療法):患者のT細胞を遺伝子操作して、がん細胞を特異的に攻撃するようにする治療法

免疫療法の歴史

20世紀:免疫療法の概念の誕生
1990年代:免疫チェックポイント分子の発見
2010年代以降:CAR-T細胞療法などの革新的な免疫療法の開発

近代のがん治療について

近代のがん治療は飛躍的に進歩しましたが、依然として克服すべき課題は多く残されています。

  • 早期発見・早期診断: 多くの種類のがんは、早期発見・早期治療が成功のカギとなります。しかし、依然として多くの患者が進行した段階で診断されます。
  • 治療抵抗性: 一部の患者は、治療に対して抵抗性を示し、治療効果が得られないことがあります。
  • 副作用: 治療に伴う副作用は、患者の生活の質を大きく低下させる可能性があります。

まとめ

中世で始まった技術から、近年で急速に発展したがん治療。近代〜現代の技術によって、中世の時代にはできなかった早期発見という点では今の時代に生まれているのはラッキーなことでしょう。
今後もがん治療は発展していくと考えらており、近代より始まった放射線治療、化学療法に加えて最大の注目をされている免疫療法の進歩によって、私たちの生活からガンがなくなる日がそう遠くないのかもしれません。

近年、注目されている「免疫治療」に関しては、どこかで調べたいと思います。

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