がんの放射線治療について

放射線治療は、日本のがん治療において主要ながん治療方法になります。
がん細胞を死滅させる治療方法です。
今回はこの放射線治療を詳しく説明していきます。

目次

放射線治療のしくみ

放射線は、目に見えない高エネルギーの電磁波です。放射線治療では、主にX線やγ線と呼ばれる種類の放射線が用いられます。

放射線が細胞に当たると、細胞内のDNAを傷つけます。DNAは、細胞の設計図のような役割を果たしており、傷ついたDNAは細胞の機能を損ない死に至らしめます。

がん細胞は、正常な細胞に比べてDNA修復能力が低いため、放射線治療によって効果的に死滅させることができます。

放射線の種類

放射線治療には、主にX線、γ線、電子線、陽子線などが用いられます。

  • X線: 最も一般的な放射線です。エネルギーが低く、皮膚や筋肉などの柔らかい組織を透過しやすいため、体表に近い腫瘍の治療によく用いられます。
  • γ線: コバルト60などの放射性同位体から発生する放射線です。エネルギーが高く、X線よりも深部まで到達できるため、体の奥にある腫瘍の治療によく用いられます。
  • 電子線: 電子を加速して発生させる放射線です。エネルギーが高く、周囲の正常な細胞へのダメージが少ないため、皮膚や粘膜に近い腫瘍の治療によく用いられます。
  • 陽子線: 陽子を加速して発生させる放射線です。エネルギーが高く、精度の高い照射が可能であるため、周囲の正常な細胞へのダメージを最小限に抑えながら、腫瘍を治療することができます。

外照射の方法

体外に設置された放射線発生装置から、がんのある部分に放射線を照射する方法です。最も一般的な放射線治療法です。

外照射には、以下の種類があります。

  • 固定照射: 患者さんの体を固定し、一定方向から放射線を照射する方法です。
  • 回転照射: 患者さんの体を回転させながら、複数の角度から放射線を照射する方法です。
  • 弧状照射: 放射線発生装置を弧状に動かしながら、放射線を照射する方法です。
  • 強度変調放射線治療(IMRT): 照射する放射線の強さを部位ごとに調整し、腫瘍に集中的に照射する方法です。

小線源治療の方法

放射性物質を封入したカプセルや針を、がんのある部分に直接挿入したり、植え込んだりする方法です。

小線源治療には、以下の種類があります。

  • 永久密封小線源治療: 放射性物質が常に放射線を放出するカプセルや針を使用する方法です。
  • 一時密封小線源治療: 放射性物質を一時的に挿入し、一定期間後に体外に取り出す方法です。

放射線治療の効果

放射線治療の効果は、腫瘍の種類、進行度、治療法、患者さんの状態などによって異なります。放射線治療では、以下の効果が期待できます。

  • 腫瘍の縮小: 放射線治療によって、腫瘍を縮小することができます。
  • 症状の緩和: 痛みや出血などの症状を緩和することができます。
  • 根治: 早期のがんや、進行度が低いがんの場合、放射線治療によって完全にがん細胞を死滅させることができる場合があります。
  • 生存率の向上: 放射線治療は、手術や化学療法と組み合わせることで、生存率の向上に貢献することができます。

放射線治療の副作用

放射線治療は、がん細胞だけでなく正常な細胞にもダメージを与えるため副作用が起こる可能性があります。代表的な副作用は以下の通りです。

  • 皮膚障害: 照射部位の皮膚が赤くなったり、ただれたり、乾燥したり、かゆくなったりすることがあります。進行度によっては、ひび割れや潰瘍などが生じることもあるようです。
    対処法: 保湿クリームや軟膏を使用し、皮膚を清潔に保ちましょう。医師から指示があれば、専用の保護クリームやパッチを使用
  • 倦怠感: 体力低下や疲労感を感じ、日常生活に支障が出る場合があるようです。
    対処法: 十分な睡眠と休息をとりましょう。軽い運動や栄養バランスの良い食事も効果的です。
  • 吐き気: 吐き気や嘔吐が起こることがあるようです。
    対処法: 抗吐き薬を服用することで、症状を軽減することが可能
  • 口腔内炎症状: 口内炎ができ、痛みや食べにくさを感じることがあるようです。
    対処法: 口腔内を清潔に保ち、専用の口腔内洗浄液を使用しましょう。痛みがある場合は、医師に相談して適切な処置を受けるようにしましょう。
  • 下痢: 下痢が起こることがあるようです。
    対処法: 水分をこまめに摂取し、下痢止め薬を服用することも可能
  • 脱毛: 照射部位の毛髪が脱毛することがあるようです。
    対処法: 帽子やウィッグなどを活用して、脱毛をカバーするしかないようです。
  • 生殖機能障害: 男性の場合は精子数の減少や勃起障害、女性の場合は卵巣機能の低下や月経不順などの生殖機能障害が起こることがあるようです。
    対処法: 生殖機能障害は、治療後も数ヶ月から数年かけて回復する可能性があります。不安な場合は、医師に相談しましょう。

まとめ

最近では、副作用を軽減するための技術も開発されており、IMRTや陽子線治療などの精度の高い放射線治療法も普及してきているようです。
放射線治療は、がん治療において重要な役割を果たす治療法ですが、同時に様々な副作用が起こる可能性があるようです。
放射線治療は、現代の技術で今後も発展していくことが期待されています。

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