米英で報告された若年層のがん患者急増の理由と予防策
近年、世界中で「早期発症がん(early-onset cancer)」(14歳から49歳までに診断されたがん)が増加しているというショッキングなニュースが報じられました。
英医師会雑誌に掲載された研究によると、過去30年間で50歳未満の新規がん患者が約80%も増加していることが判明しました。
米医師会雑誌の報告でも、若年層のがん罹患率が特に高まっていることが指摘されています。
一体なぜ、若年層のがん患者が急増しているのでしょうか?
そして、私たちはこの脅威から身を守るために何ができるのでしょうか?
それについて今回考えて、理由をお話ししたいと思います。
日本人女性の早期発症がんが増えている
1. 健康的なライフスタイルは「特権」!?
米医師会雑誌に掲載された研究によると、X世代(1965年から1980年生まれ)は、
ベビーブーマー世代(1946年から1964年生まれ)よりも、以下の種類のがんを発症するリスクが高いことが示唆されています。
女性の場合
- 甲状腺がん
- 腎臓がん
- 直腸がん
- 子宮がん
- 結腸がん
- 膵臓がん
- 卵巣がん
- 非ホジキンリンパ腫
- 白血病
男性の場合
- 甲状腺がん
- 腎臓がん
- 直腸がん
- 結腸がん
- 前立腺がん
一方、X世代よりも罹患率が低いがんもありました。
女性の場合:
- 肺がん
- 子宮頸がん
男性の場合:
- 肺がん
- 肝臓がん
- 胆嚢がん
- 非ホジキンリンパ腫
しかし、これらの減少は、増加した種類のがんのリスクを相殺するほどではありませんでした。
研究者たちは、この結果について以下のように考察しています。
近年、健康的な食生活を送ったり、十分な運動をしたりすることは、経済格差や保険加入状況、居住環境などの影響を受け、多くの人にとって「特権」となりつつあるという問題があります。
これらが関係するというはっきりしたデータはありませんが、ほぼ正しいと思われています。
2. 老化の加速と関連?
若年層のがん患者急増の背景には、老化の加速が関係している可能性も指摘されています。
ワシントン大学医学部の研究によると、1965年以降に生まれた人は、1950年から1954年生まれの人と比較して、生物学的年齢が17%も高くなっていることが判明しました。
生物学的年齢とは、暦年齢とは異なり、その人の身体の状態を指します。この研究では、血液中の9つのバイオマーカーを分析することで、生物学的年齢を算出しました。
研究者たちは、生物学的年齢の加速と、肺がん、消化器がん、子宮体がんの早期発症リスク上昇との関連性を明らかにしました。
3. 食生活や運動習慣が影響
生物学的年齢に影響を与える要因には、食事、運動レベル、喫煙習慣などが挙げられます。
また、遺伝的要因も関係している可能性がありますが、後天的な要素も大きく関係していると言われています。
後天的な要素とは、喫煙、食生活、睡眠不足、アルコール摂取、運動不足、、、、などが挙げられます。
これらの後天的な要素は、自身で改善できる要素になっています。
4. 今すぐできること
がんを予防するためには、以下の点に注意することが重要です。
- 座りがちな生活習慣を改善し、運動を習慣化する
- インスタント食品や加工食品を控え、野菜や果物、魚介類などを積極的に摂取する
- 十分な睡眠をとる
- 禁煙する
- 定期的に検診を受ける
これらの習慣を今日から実践することで、老化の進行を抑制し、がんのリスクを軽減することができます。
5. さらなる研究と社会的な取り組みへの期待
若年層のがん患者急増という課題を解決するためには、さらなる研究と社会的な取り組みが必要だと言われています。
- 若年層のがん発症メカニズムの解明
- 効果的な予防法の開発
- 健康格差の是正
- 誰もが健康的な生活を送れる環境づくり
これらの課題に取り組むことで、将来的には若年層のがん患者を減らし、より多くの人が健康に暮らせる社会を実現することができるでしょう。
まずは、若い世代の人がこれらの事実を知ることが大切でしょう。それから各々できることから始めていくことが先決でしょう。