以前の記事で抗がん剤について記事を書きました。そこからさらに、抗がん剤の副作用に関して調べているとこれは色々とまとめた方が良さそうだと思い、今回は副作用に特化した内容で記事をまとめていきます。
以前の記事を見られていない人はこちらからどうぞ。↓
ケース1:白血球減少による感染症
- 症例: 50代女性、乳がん患者さん。術後に抗がん剤治療を受けました。
治療開始後2週間目に白血球減少となり、発熱と咳が出現しました。
検査の結果、肺炎を発症していることが判明し、入院となりました。
白血球減少とは
白血球は、体内の免疫システムを担う重要な役割を果たす細胞です。白血球には、細菌やウイルスなどの病原体から体を守る役割があります。
抗がん剤の中には、骨髄の造血幹細胞を攻撃することで、白血球の産生を抑制するものがあります。その結果、白血球数が減少 (白血球減少症) してしまうのです。
白血球減少症の症状
白血球減少症の主な症状は以下の通りです。
- 発熱: 38℃以上の発熱が続く
- 悪寒: 悪寒がひどい
- 下痢: 3回以上の水様性下痢
- 頻尿: 排尿回数や尿量が増える
- 口腔内炎: 口内炎が複数できる
- 咽頭炎: 喉の痛みや腫れ
- 体臭: 体臭が強くなる
白血球減少による感染症
白血球減少症は、感染症にかかりやすくなるという重大なリスクをもたらします。
主な感染症の種類は以下の通りです。
- 肺炎: 肺に感染症を起こす
- 真菌感染症: カビや酵母などの真菌による感染症
- ウイルス感染症: ヘルペスウイルスや水痘ウイルスなどのウイルス感染症
- 敗血症: 細菌が血液中に侵入し、全身に感染症を起こす
ケース2:貧血による倦怠感
- 症例: 60代男性、大腸がん患者さん。
抗がん剤治療を受けていました。
治療開始後数週間から倦怠感がひどくなり、日常生活に支障をきたすようになりました。
検査の結果、貧血と診断され、輸血を受けました。
貧血とは
貧血とは、体内の赤血球数やヘモグロビン量が少ない状態を指します。
赤血球は、酸素を運搬する役割を担い、ヘモグロビンは赤血球内に含まれるタンパク質で、酸素と結合する役割を担っています。
抗がん剤の中には、骨髄の造血幹細胞を攻撃することで、赤血球の産生を抑制するものがあります。その結果、赤血球数やヘモグロビン量 が減少 (貧血) してしまうのです。
貧血の症状
貧血の主な症状は以下の通りです。
- 倦怠感: ひどい倦怠感がある
- 息切れ: 少し動いただけで息切れする
- 動悸: 心拍数が速くなる
- 頭痛: 頭痛がする
- めまい: めまいがする
- 顔色が悪い: 顔色が悪い
- 冷え性: 体が冷える
ケース3:脱毛
- 症例: 30代女性、卵巣がん患者さん。抗がん剤治療を受けました。治療開始後1ヶ月ほどで髪の毛が抜け始め、2ヶ月後にはほとんど脱毛しました。ウィッグを着用して生活していました。
脱毛とは
脱毛とは、髪の毛や体毛が抜けることを指します。抗がん剤の中には、毛根にある細胞を攻撃することで、脱毛を引き起こすものがあります。
脱毛の種類
脱毛には、以下のような種類があります。
- 全頭脱毛: 頭髪のすべてが抜ける
- 部分脱毛: 頭髪の一部が抜ける
- まゆ毛脱毛: まゆ毛が抜ける
- まつ毛脱毛: まつ毛が抜ける
- 陰毛脱毛: 陰毛が抜ける
- 体毛脱毛: 体毛全体が抜ける
脱毛の程度は、使用する抗がん剤の種類、投与量、投与方法などによって異なります。一般的には、投与開始後数日から数週間で脱毛が始まり、投与終了後数ヶ月から半年程度で生え始めます。
ケース4:吐き気・嘔吐
- 症例: 40代男性、胃がん患者さん。抗がん剤治療を受けました。治療開始後数日から吐き気と嘔吐が出現し、食事がほとんど取れなくなりました。制吐薬を服用することで症状は改善しました。
吐き気・嘔吐のメカニズム
抗がん剤の中には、脳の嘔吐中枢を刺激したり、消化管の粘膜を刺激したりすることで、吐き気・嘔吐を引き起こすものがあります。
吐き気・嘔吐の程度
吐き気・嘔吐の程度は、使用する抗がん剤の種類、投与量、投与方法などによって異なります。一般的には、投与開始後数時間から数日で吐き気・嘔吐が始まり、投与終了後数日から数週間で治るようです。
吐き気・嘔吐の種類
- 急性吐き気・嘔吐: 投与後数時間以内に起こる吐き気・嘔吐
- 遅発性吐き気・嘔吐: 投与後数時間から数日後に起こる吐き気・嘔吐
- 突破性吐き気・嘔吐: 制吐剤の効果が切れた後に起こる吐き気・嘔吐
ケース5:下痢
- 症例: 20代女性、白血病患者さん。抗がん剤治療を受けました。治療開始後数日から下痢が出現し、日常生活に支障をきたすようになりました。下痢止めを服用することで症状は改善しました。
下痢のメカニズム
抗がん剤の中には、腸の蠕動運動を活発化させたり、腸の粘膜を刺激したりすることで、下痢を引き起こすものがあります。
下痢の程度
下痢の程度は、使用する抗がん剤の種類、投与量、投与方法などによって異なります。一般的には、投与開始後数日から数週間で下痢が始まり、投与終了後数日から数週間で治るようです。
下痢の種類
- 水様性下痢: 水のような便が頻繁に出る
- 血便: 便に血が混じる
- 粘液便: 便に粘液が混じる
ケース6:口内炎
- 症例: 70代男性、前立腺がん患者さん。抗がん剤治療を受けました。治療開始後1週間ほどで口内炎ができ、痛みで食事が困難になりました。口腔ケアを行い、痛み止めを服用することで症状は改善しました。
口内炎のメカニズム
抗がん剤の中には、口腔粘膜の細胞を攻撃することで、口内炎を引き起こすものがあります。
口内炎の種類
- アフタ性口内炎: 円形または楕円形の浅い潰瘍で、白っぽい膜で覆われています。
- 疱疹性口内炎: 小さな水疱が数個から数十個集まってできる口内炎です。
- 潰瘍性口内炎: 深い潰瘍で、痛みを伴うことが多いです。
口内炎の程度
口内炎の程度は、使用する抗がん剤の種類、投与量、投与方法などによって異なります。一般的には、投与開始後数日から数週間で口内炎が現れ、投与終了後数週間から数ヶ月で治るようです。
ケース7:倦怠感
- 症例: 50代女性、肺がん患者さん。抗がん剤治療を受けていました。治療開始から数週間で倦怠感がひどくなり、家事や外出が困難になりました。医師に相談し、栄養管理や休息を徹底することで症状は改善しました。
倦怠感の程度
倦怠感の程度は、使用する抗がん剤の種類、投与量、投与方法などによって異なります。一般的には、投与開始後数日から数週間で倦怠感が現れ、投与終了後数週間から数ヶ月で治まります。
倦怠感の種類
倦怠感には、以下のような種類があります。
- 軽い倦怠感: 日常生活に支障が出るほどの倦怠感ではない
- 中等度の倦怠感: 日常生活に支障が出るほどの倦怠感がある
- 重度の倦怠感: 日常生活を送ることが困難になるほどの倦怠感がある
ケース8:食欲不振
- 症例: 60代男性、膵臓がん患者さん。抗がん剤治療を受けていました。治療開始から数週間で食欲不振となり、体重が減少しました。栄養士に相談し、栄養補助食品を服用することで症状は改善しました。
食欲不振の種類
- 軽度の食欲不振: 普段よりも少しだけ食欲が落ちている
- 中程度の食欲不振: 普段よりもかなり食欲が落ちている
- 重度の食欲不振: ほとんど何も食べられない
ケース9: 発熱
- 症例: 30代女性、子宮頸がん患者さん。抗がん剤治療を受けました。治療開始後数日から発熱が出現し、38度を超えました。解熱剤を服用し、様子を見ました。
発熱の種類
- 低熱: 38℃未満の発熱
- 中等熱: 38℃~39℃の発熱
- 高熱: 39℃以上の発熱
ケース10:味覚障害
- 症例: 40代男性、食道がん患者さん。抗がん剤治療を受けました。治療開始後数週間から味覚がおかしくなり、食事が美味しく感じられなくなりました。医師に相談し、経過観察となりました。
味覚障害のメカニズム
抗がん剤による味覚障害のメカニズムは完全には解明されていませんが、以下のような要因が関係していると考えられています。
- 舌の損傷: 抗がん剤は味を感じる味蕾細胞を攻撃することがあります。味蕾細胞が損傷されると、味覚障害を引き起こします。
- 神経障害: 抗がん剤は味覚情報を脳に伝える神経を攻撃することがあります。神経が損傷されると、味覚障害を引き起こします。
- 唾液分泌量の減少: 抗がん剤は唾液腺を攻撃することがあり、唾液分泌量の減少を引き起こすことがあります。唾液は食べ物の味を感知する役割を担っているため、唾液分泌量が減少すると、味覚障害を引き起こします。
- 心理的な要因: 抗がん剤治療による不安やストレスは、味覚障害の原因となることがあります。
2. 味覚障害の程度
味覚障害の程度は、使用する抗がん剤の種類、投与量、投与方法などによって異なります。一般的には、投与開始後数日から数週間で味覚障害が現れ、投与終了後数ヶ月から1年ほどで治まります。
味覚障害の種類
味覚障害には、以下のような種類があります。
- 甘味障害: 甘味を感じにくい
- 塩味障害: 塩味を感じにくい
- 酸味障害: 酸味を感じにくい
- 苦味障害: 苦味を感じにくい
- 味覚脱失: すべての味を感じない
まとめ
このように抗がん剤の副作用には多くの種類があります。
患者の状態、抗がん剤の種類、投与量、投与方法、投与期間、、、などにより症状が異なります。
その中でも代表的な副作用の症状を今回は実例も合わせて紹介しました。
少しでも皆さんのお役に立てればと思います。